文部科学省の見解
論文博士ですが、
「いずれこの制度はなくなってしまうんじゃないの?」
と思っている方もいらっしゃると思うので、文部科学省の見解について解説していきたいと思います。
円滑な博士の学位授与の促進
文部科学省のHPに「円滑な博士の学位授与の促進」というものがあります。
その内容によると、
課程制大学院制度の趣旨の徹底を図るとともに,博士の学位の質を確保しつつ,標準修業年限内の学位授与を促進する。
【具体的取組】
- 各大学院における円滑な学位授与を促進するための改善策等の実施(学位授与に関する教員の意識改革の促進,学生を学位授与へと導く教育のプロセスを明確化する仕組みの整備とそれを踏まえた適切な教育・研究指導の実践など)
- 各大学院における学位の水準の確保等に関する取組の実施(学位論文等の積極的な公表,論文審査方法の改善など)
- 国による各大学院の学位授与に関する取組の把握・公表の実施
なお,現行のいわゆる「論文博士」については,企業,公的研究機関の研究所等での研究成果を基に博士の学位を取得したいと希望する者もいまだ多いことなども踏まえつつ,学位に関する国際的な考え方や課程制大学院制度の趣旨などを念頭にその在り方を検討し,それら学位の取得を希望する者が大学院における研究指導の機会が得られやすくなるような仕組みを検討していくことが適当である。
引用元:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05090501/009.htm
以上のような記載があります。これだけ見ると、論文博士という制度は続いていくのではないかと捉えることができます。
一方で、論文博士の在り方についての記載には違った意見がありました。
<論文博士の在り方の検討>
大学は,博士の学位を授与された者と同等以上の学力があると認める者に対し,博士の学位を授与することができるとされており,これにより授与する学位のことをいわゆる「論文博士」と呼んでいる。
これについては,学位は,大学における教育の課程の修了に係る知識・能力の証明として大学が授与するものという原則が国際的にも定着していること,国際的な大学間の競争と協働が進展し,学生や教員の交流や大学間の連携など,国際的な規模での活動が活発化していく中にあって,今後,制度面を含め我が国の学位の国際的な通用性,信頼性を確保していくことが極めて重要となってきていることなどを考慮すると,
諸外国の学位制度と比較して我が国独特の論文博士については,将来的には廃止する方向で検討すべきではないかという意見も出されている。
引用元:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05090501/009.htm
まとめ
このように、文部科学省のHPの資料内でも論文博士の制度に対して、賛否があるようです。
いつまでこの制度が続くか分かりませんので、論文博士の取得を考えている方は早めに動き出すことをお勧めします。
【論文博士】取得までの過程をまとめてみた - 東大論文博士@創薬化学研究者のブログ (hatenablog.com)