東大論文博士@創薬化学研究者のブログ

社会人が働きながら東京大学大学院で博士(薬科学)を取得したとある研究者の話

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【書籍】有機化学実験の事故・危険 事例に学ぶ身の守り方

まずは安全に実験できることが一番大事

 
 
 
 
 
 
皆さん、実験で危ない思いをしたことはありますか?
 
 
私は学生時代に何度も危ない場面を見てきました....
 
 
例えば、溶媒の蒸留でNaをワイヤーにするときにが出たり、Pd/Cをゴミ箱に捨ててが出たり、LAHを使った反応で、思いっきり勢いよく水を入れて噴き出している後輩もいました(笑)
 
 
 
 
 

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なぜ危ない場面に毎年遭遇するのか?
 
 
 
それは考えてみれば当然のことです。
 
 
 
なぜなら、全に実験を行うための教育が大学では不足しているから」です
 
 
 
企業では、安全面に対する意識が大学よりかなり高いです。その時、今まで本当に危ない実験の仕方をしていたなと痛感しました。
 
 
 
 
最近の大学における化学の授業では、昔のように化学物質の性質を詳しく教える各論的な内容の授業が姿を消しています。
 
 
 
理論的な説明で体系化された知識の習得が主流になっています。
 
 
 
 
試薬も多様なものが市販品として入手できるようになり、自分で合成する必要がなくなった結果、大学院生になっても身近な化合物の性質をあまり知らないケースが見られるようになっています。
 
 
たとえばDMP試薬を自分で作ったことあります?
 
 
このような背景のもとでは、年配の化学者にとって当然の事故が、若い化学者に取っては予想し得ない事故となる危険性が、今後ますます増大するものと懸念されます。
 
 
 
この本は著者の40年に渡る研究生活中に、雑誌や論文に載った有機化学実験を行っている際に起こった事故例や、実際に身の回りで起きた体験をまとめたものです。
 
 
自分の身を守るためにも安全に実験を行うための勉強も必要です。
 
 
 
内容は以下
 
1 基本的な操作や取扱いにおける事故                        
 1.1 加熱と冷却
 1.2 蒸留
 1.3 乾燥
 1.4 溶媒
 1.5 気体の使用と加圧
 1.6 撹拌と実験の規模
 1.7 悪臭と有毒気体
 1.8 試薬の保存と廃棄
 1.9 アレルギー物質
 1.10 発ガン物質
 1.11 毒性元素
2 酸化反応における事故
 2.1 有機過酸化物
 2.2 過酸化水素
 2.3 オゾン化分解
 2.4 クロム試薬
 2.5 マンガン試薬
 2.6 オスミウムルテニウム試薬
 2.7 その他の酸化試薬
3 還元反応における事故
 3.1 単体金属
 3.2 接触還元
 3.3 ヒドリド試薬
 3.4 ヒドラジン
 3.5 その他の還元剤
4 炭素―炭素結合の生成反応における事故
 4.1 アセチレンとアレン
 4.2 有機金属試薬を用いる合成
 4.3 Friedel-Crafts反応
 4.4 付加環化反応
 4.5 ニトリルとエステル
 4.6 カルボアニオン種とベンザイン
 4.7 重合反応
5 有機窒素化合物の反応や取扱いにおける事故
 5.1 アジド化合物
 5.2 ジアゾ化合物
 5.3 ジアゾニウム化合物
 5.4 ジアゼン、トリアゼンおよびポリアゼン
 5.5 ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドラゾンおよびニトロソ化合物
 5.6 脂肪族ニトロ化合物
 5.7 芳香族ニトロ化合物
 5.8 ニトロ化反応
 5.9 硝酸化合物
 5.10 その他の窒素化合物
6 ハロゲン化およびハロゲン試薬を扱う際の事故
 6.1 塩素化と塩素化試薬
 6.2 臭素化と臭素化試薬
 6.3 フッ素化とフッ素化試薬
 6.4 ヨウ素化とヨウ素化試薬
 6.5 高原子価ハロゲン化合物
7 硫黄試薬を扱う際の事故
 7.1 無機硫黄試薬
 7.2 有機硫黄試薬
8 リン試薬を扱う際の事故
 8.1 無機リン試薬
 8.2 有機リン試薬
9 その他のヘテロ元素試薬を扱う際の事故
 9.1 ホウ素系試薬
 9.2 セレン試薬
 9.3 ケイ素試薬
10 ヘテロ環化合物や高ひずみ化合物を扱う際の事故
 10.1 3員環および4員環化合物
 10.2 5員環および6員環化合物
 10.3 高ひずみ化合物
11 物理化学的手法の利用と事故
 11.1 光化学反応
 11.2 相間移動反応
 11.3 マイクロ波の利用に置ける危険
 
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