東大論文博士@創薬化学研究者のブログ

社会人が働きながら東京大学大学院で博士(薬科学)を取得したとある研究者の話

MENU

【書籍】創薬研究のための相互作用解析パーフェクト

 

 

私が考えるこの本の魅力

 

この本は発売前から目を付けていたのですが、現在(2021.12.19時点)「創薬化学」のカテゴリーでベストセラー1位になっています。

 

f:id:muscle_PhD:20211219065008p:plain

 

 

タイトルからして、面白そうだし、相互作用解析に特化した本はあまり見たことがない。

 

メドケム向けの本ではないと思うが、メドケムというのは合成だけをやっておけばいいのではなく、他分野のことまで専門家と議論できるレベルまで勉強しなければならない。

 

しかも、この本は「相互作用解析」ということで、メドケムがSARによって調整できる部分であるので、関係してくる部分が大きいのではないでしょうか?

 

 

本書の内容

 

低分子化合物,中分子化合物,バイオ医薬品など広いモダリティーに合わせて,相互作用解析を使い分ける必要がある.

本書では低中分子化合物の創薬研究に特有のポイントを取り上げ,創薬スクリーニング・最適化全体の流れを示すとともに,各節の相互作用解析の位置付けや留意点を概説している。

 

また、創薬研究で肝となる相互作用解析の決定版的プロトコール集となっており、多様な解析法の物理化学的な原理から実験のポイントまで丁寧に解説してある。

AlphaFoldやクライオ電顕などを用いた立体構造から迫るアプローチも紹介されている。

 

 

【目次】

 

赤字はメドケムとして関係してくるところ


第1章 創薬における相互作用解析のスタンダード
I 低中分子創薬  
1 低分子・中分子創薬における相互作用解析ナビ
2 SPRを用いた低分子化合物のスクリーニング
3 SPRを用いたヒットバリデーション,最適化のためのキャラクタリゼーション
4 示差走査型蛍光定量法を用いたタンパク質熱安定性解析のスクリーニング
5 等温滴定型カロリメーター(ITC)を用いた分子間相互作用の熱量評価
6 マイクロスケール熱泳動法(MST)を用いた分子間相互作用解析
7 蛍光偏光測定
8 フラグメント創薬(FBDD)のための溶液NMR実験法
II 抗体創薬
9 抗体創薬における相互作用解析ナビ
10 シングルセルPCRによるモノクローナル抗体作製法
11 ファージディスプレイ法を用いた一本鎖抗体の改変
12 SPR法を用いた抗体創薬における分子間相互作用解析
13 等温滴定型熱量計(ITC)を用いた相互作用の熱力学的解析
14 BLI(バイオレイヤー干渉法)を用いた抗体エピトープ解析
15 水素-重水素交換質量分析(HDX-MS)実験法による相互作用部位の解析
16 会合凝集体の検出
17 SEC-MALSを用いた生体分子の多量体解析
18 示差走査型カロリメーター(DSC)を活用した抗体の熱安定性解析
19 抗体の立体構造予測と抗原とのドッキング計算

第2章 インフォマティクスによる相互作用解析のスタンダード
1 タンパク質アミノ酸配列からの立体構造予測
2 タンパク質-タンパク質ドッキング計算による構造予測と相互作用予測
3 計算による低分子ドッキング・薬物スクリーニング
4 MDシミュレーションによるリガンド結合解析
5 フラグメント分子軌道法に基づく分子間相互作用解析
6 創薬等に役立つインターネット上のデータベース

第3章 ひとつ進んだ相互作用の理解をめざして
1 X線結晶構造解析の流れとポイント・コツ
2 クライオ電子顕微鏡弱い相互作用の複合体構造を解析するための戦略
3 X線自由電子レーザーを用いたタンパク質の構造解析
4 生体高分子溶液試料の小角X線散乱解析(BioSAXS)
5 高速原子間力顕微鏡によるタンパク質間動的相互作用の一分子計測
6 超遠心分析沈降速度法による分子間相互作用解析
7 Native-MSによる分子間相互作用解析
8 創薬分野におけるAIの活用

]